2008年10月28日火曜日

イールドコントロールの弊害

 すがすがしい秋晴れの銀座です。
 世界のビーチリゾートホテルレビューのヒロさんです。

 さて、このところ観光旅行が激減なんてニュースが流れていますが。
 特に中国、バンコクは目を覆うほどの激減状態。
 どうやら、韓国と香港あたりにお客様が集中してるようです。
 といっても、一時期の渡航者数には及ばないんじゃないでしょうか。

 経済はどんどん泥沼にはまっていっていますが、本来これだけ円高になると海外渡航者は増えたものです。
 国交省、航空会社もルールにとらわれず、景気対策として「燃油サーチャージの撤廃」でもすればいいのに!アホですね。
 
 で、今、裏でどんなことが行われるか知ってますか?
 「燃油サーチャージ」で、自らの首を絞めてしまった航空会社のアホどもが。
 燃油サーチャージをいじるわけにいかないので、航空券そのものを下げてるんです。PEXと云われれている正規割引運賃も下げるわけにいかない。
 だからー
 パッケージ用の航空券を下げまくって、燃油と総額にして売り出してるんです。
 びっくりしますよ。
 エアー代だけなら1万円前後でばら撒いてるんですから。もちろん、方面によりますけどね。
 上述のバンコクとか・・・。
 ヨーロッパやアメリカ方面は打ち出し価格の半額くらい。

 こんなことするなら、燃油サーチャージやめりゃいいじゃんって話ですよね。
 そうすりゃ、海外渡航者が増えるのに。
 それが、航空会社にとっても、国にとっても一番いいことでしょ?
 
 ここで問題がー。

 どの企業でも業界でも、現場の営業って云うのはマーケットの推移を見ているんですが、数字ばかりを追ってる管理部門ってのは頭デッカチで臨機応変の対応が出来ません。
 今、まさにそのような弊害が出ているのです。 

 その昔、航空会社の壁には、搭乗率(ロードファクター)の成果が貼ってあったりしたもんです。
 「97%達成!」なんてね。
 たとえば、ビジネスクラスが5席残っていて、エコノミーが満席だとします。
 その状態で、エコノミー3席のオーダーが来ると、様子を見ながらもOKが出たんです。
 つまり、飛行機をカラで飛ばしても、飛ばさなくても係る経費はほぼ同じ。だから、トータルのパイで見て空きがあればねじ込んでしまえっていうわけです。
 
 ところがー
 数年前から、満席にしても収益があがっていないことに気がついた航空会社は、ロードファクターという考え方からイールドコントロールという方式に変えたんですよね。
 イールド(yield)、つまり収益を生み出さなければ意味がない。収益を重視したコントロールってことです。
 搭乗率が高いに越したことはないが、安いクラスをいくら売ったところでペイ出来ない。
 そこで、過去のデータから計算を重ねたのでしょう。
 ビジネスクラスをはじめ、クラスを細かく設定して、決めた席数以外は一切出さない。ほかのクラスがガラガラでもそのまま飛ばす、という方針に変わったのです。

 この方針は間違いではない、と思います。
 確かにパッケージ用(ITといいます)の安いクラスで一杯にしても赤字ですから。

 しかしながらー
 今回のような不景気になると結局、このITを操作するしかなくなるんです。
 燃油サーチャージは下げられない(3ヶ月に1度の見直しと決まっているので)。
 公示運賃も認可制なので勝手に変えられない。
 残るは、券面額表示のないITだけなのです。

 ITのばら売りは、「格安航空券」だとか「エアオン(エアーオンリーの略)」といわれる航空券ですが、元々ホテルや現地手配を付けなければならない航空券で、航空会社からの規制もきつかったんです。
 にも拘らず、結局、航空会社はこのITに頼らざるを得ないんですよネ。

 そしてー
 航空券本体を投売りしています。
 8,000円、10,000円、半額・・・。
 どうなるかというと、燃油サーチャージ代のほうが遥かに高いのです。
 
 もう一度書きます。
 燃油サーチャージは今更下げられない(1月の改正では大幅に下げると予想します)。
 イールドコントロールを謡ってる以上、座席数の管理を大幅に変えることは出来ない。
 それゆえ、
 たとえば8,000円である方面の料金が発表されるも、予約を入れるとOKが出ない、っていうチグハグな現象が起こっているのです。

 イールドコントロール。
 その実、実勢のマーケットに則さない独りよがりのコントロールと化しているのです。

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